小説新潮一月号「昨日壊れ始めた世界で」掲載
――世界は昨日、壊れ始めた。
真新しい、眺めのよいマンションに忍び込んだ五人の子供達は、そこで独り暮らす、奇妙な「最上階の男」に出会います。世界は遠からず崩壊してしまう、と信じ込み、それを食い止めようとたった一人で静かな戦いを続ける男。
――君たち一人一人の些細な行動が、世界にヒビを入れてしまった。
その言葉は、三十年の時を経て、大人になった彼らの心に蘇ります。
四十歳を過ぎた今、あちこちがひび割れ始めた人生の斜陽を目の当たりにして、彼らが切に知りたいと願うこと、それは――。
――一体何が、自分たちの人生にひびをいれてしまったのだろう?
――手遅れなのかもしれない。でももしかしたら、まだ何か出来るのかもしれない。
ロスジェネ世代、厳しい世相をそれぞれに生き抜く5人の姿を、心を込めて描き出します。
誠実に生きることと向き合いながら、希望は失わずにいたい全ての人へ。
是非、お読み下さい。