刊行作品紹介
刊行情報をまとめたサイトがなかったので、こちらでご紹介します。これまで5冊の本が出ています。
「昨日壊れはじめた世界で」(新潮社)
「見えない星に耳を澄ませて」(KADOKAWA)
「やわらかな足で人魚は」(文春文庫)
「永遠の詩(とわのうた)」(文藝春秋)
「水に立つ人」(文藝春秋)
「あの光」(集英社小説すばる連載)集英社より刊行予定です
小説すばるにて連載させて頂きました「あの光」無事に完結しました(22年3月号〜23年1月号)
ほぼ一年の長丁場でしたが、御愛読頂いた皆様、有り難うございました!
ハウスクリーニングサービスに勤める普通の女性・高岡紅が、ひょんなことから「お掃除で人生を変える」自己啓発セミナーを立ち上げ、教祖さまと化していく物語。
教祖さまって実は大変なんじゃないかな……という素朴な疑問から始まった本作。書き終えてみて思ったのは「確かに大変に違いない。ただし良心が残っていれば」ということ。
「信じる」ってどういうことだろう。「承認欲求」って一体何なんだろう?
思わぬ形で宗教がクローズアップされた22年、キーボードを打つ手にも力が入りました。
本作は23年中に集英社より刊行予定です。信じることの危うさについて、この本と一緒に考えていただければ嬉しいです。
「あの空の青は」と映画「フロム・イーブル」
HSP(Highly Sensitive Person)である主人公・真尋について—見えない星に耳を澄ませて—
小説新潮一月号「昨日壊れ始めた世界で」掲載
――世界は昨日、壊れ始めた。
真新しい、眺めのよいマンションに忍び込んだ五人の子供達は、そこで独り暮らす、奇妙な「最上階の男」に出会います。世界は遠からず崩壊してしまう、と信じ込み、それを食い止めようとたった一人で静かな戦いを続ける男。
――君たち一人一人の些細な行動が、世界にヒビを入れてしまった。
その言葉は、三十年の時を経て、大人になった彼らの心に蘇ります。
四十歳を過ぎた今、あちこちがひび割れ始めた人生の斜陽を目の当たりにして、彼らが切に知りたいと願うこと、それは――。
――一体何が、自分たちの人生にひびをいれてしまったのだろう?
――手遅れなのかもしれない。でももしかしたら、まだ何か出来るのかもしれない。
ロスジェネ世代、厳しい世相をそれぞれに生き抜く5人の姿を、心を込めて描き出します。
誠実に生きることと向き合いながら、希望は失わずにいたい全ての人へ。
是非、お読み下さい。
単行本「永遠の詩」全国書店にて発売中です
愛を得られないまま成長した少年、彼を魅了する悪魔のような継母。運命のくびきから逃れるために必要なものは何なのか。青年は硝子工房に飛び込み、生きる道を切り開こうとしますが、そこにもまた、罠に似た運命が……。
工芸用ガラスを溶かして加工するために使われる【熔解炉】。そこでは千四百度の炎が絶え間なく燃え続けています。主人公・元基もまた、自身の心の中に、消えることのない永遠の炎を見つけることが出来るでしょうか。外側にある幸福を全て失った時、自分の内側に何を握っていれば、生き延びることが出来るだろうか。そんな問いと向き合いながら書き上げた作品です。
「オール讀物」2017年6月〜12月号に連載された作品が、大幅に改稿されて一冊の本となりました。連載時にお読み下さった皆様も、また違った印象を持ってお楽しみ頂けると思います。
表紙には画家の塩月悠さんが、大変魅力的なファム・ファタルを描いて下さいました。全国の書店にて発売中です。是非、お手元においてお楽しみ下さい。
刊行記念のインタビューは↓こちら↓です。
---------
加えて、本日発売の「オール讀物」11月号に、短編「硝子越しの要求」が掲載されます。振込め詐欺の電話を掛け続ける少年。ある日、応答したお年寄りが規格外のリアクションを見せて……。彼女の反応に振り回されながら、お互いの過去が思いもかけない形でリンクしていきます。こちらも是非、お楽しみ下さい。
---------
おまけ。
タイトルの「永遠の詩」は、レッド・ツェッペリンの名曲のタイトルより拝借。ツェッペリンに限らず、この作品の執筆中には、10代の頃に聞いたロックの名曲を随分と聞き直しました。いつも音楽に助けられながら創作しています。彼らの持つ力は本当に偉大だなあと痛感。